寝不足は太るって本当

本当です。ただし、寝不足だけでなく、実は寝すぎの人も、肥満の指標であるBMIが高いことがわかっています。この2つのグルーブの太るメカニズムは異なるようです。そのうち、睡眠時間が短いとなぜ太るのかはだいぶわかってきています。

 

同じ人の睡眠時間をたとえば9時間、7時間、4時間にして調べてみると、睡眠時間が短いほど食欲を増すホルモンの分泌が増えると同時に、食欲を抑えるホルモンも低下することがわかりました。太る要素が二重にあるわけです。

これは同じ人の睡眠時間を短くした時のデータで、たくさんの人を対象に、睡眠時間が短い人から長い人まで血液を調べていくと、やはり短い人はホルモンが同じように太りやすい方向に変化していました。

一般に寝不足が太ると言われるのは、このように食欲に関するホルモンの影響が一部に関係していると思われます。

では、睡眠時間が長い人はなぜ太りやすいのかというと、ホルモンの関与はまだ不明です。残念ながら、研究レベルではまだ解明されていないのですが、研究者の間でよく言われているのは太っているから動かないのではないかということ(笑)。冗談は抜きにしても、肥満やうつ状態(長時間睡眠の人にはうつ状態が多い)のためにベッドに横になっている時間が長くなり、結果的に肥満が悪化する悪循環に入っているケースは多いと思います。

睡眠時間が長いということは、ベッドに横になっている時間が長いということで、エネルギーの消費量が少なくて太りやすくなるのは容易に納得できます。睡眠時間と肥満の因果関係が短時間睡眠の時とは逆ですけれど。

なお、睡眠時間が短いと太りやすいのは子どもにもあてはまります。小学校低学年の時に睡眠時間の短い子が、その後、中学生、高校生になった時のBMIを調べた疫学調査があるのですが、やっぱりBMIが高い子が多い。このメヵニズムはまだ完全に原因が究明できておらず、長いことホルモンの問題を抱えているせいなのか、夜更かしで夜食が多いのか、眠気のために日中の運動量が少ないのかなど、いろいろな可能性が検討されていますけれど、これは子どもの睡眠不足がもたらす問題のひとつです。